先日、「テレワークを導入している企業が少ない」「導入されていても利用されていない」というニュースを目にしました。
働く場所を定めないテレワーク。リモートワークや在宅ワークなどとも呼ばれます。
私は以前よりもリモートで仕事をする人は増えてきている印象を持っていました。
というのも、私は2016年から在宅勤務で人事の仕事をしてきていろいろな方と出会ってきたのですが、そうした方が在宅勤務をする理由は、こんな事情からなんです。
- 保育園が空いていないので、子どもを預けて外で働けない
- 仕事や職場のストレスでうつ病になってしまった
- 過労でヘルニアなどの病気が発症してしまった
- 親の介護をしなければならない
いずれも現代社会で問題になっていることですよね。
場所を選ばない「テレワーク(在宅ワーク)」という働き方なら、子育てや病気などの事情があっても働くことができます。
ですが、社会全体から見るとテレワークはなかなか浸透しないようです。
そこで、この記事ではこんなことを考察し、まとめてみました。
- 通勤や働き方に不満を持っている人は多いという事実
- なぜテレワークは増えないのか?ふたつの視点から考察
- 働く側の意識
- 企業側の考え
テレワーク制度の導入率が伸びないという事実
私が目にしたニュースはこちらです。
「テレワーク制度があっても利用は週「0日」が7割、 制度だけでなく実施しやすい雰囲気や環境の整備が求められている」
(以下、本文抜粋)
「テレワーク導入済み(制度として導入運用されている+部分的容認・導入されている)」の合計が36.2%に対し、「導入も検討もされていない」が54.0%と過半数を上回る結果となりました。従業員数300名以上の「大企業]においてもテレワークの導入率は37.9%と低く、テレワークが注目されているものの、多くの企業で導入に至っていないことが分かりました。
東京オリンピックや時代の流れなどでテレワーク(リモートワーク)を導入する企業が増えています。
(五輪のために「極力都心に人を集めないようにしよう」という背景)。
でも、導入していない企業もまだまだ多く、導入したはいいけど社員は利用しない、というのが実態だそう。
とはいえ、通勤に不満を持っている人は多いようです。上の調査によると…。
通勤に満足してない層は4割。通勤時間が 60 分以上の層では「満足していない」が65.8%
満足していない(まったく満足していない+あまり満足しいない)計が39.8%に対し、満足(非常に満足+やや満足)が37.3%と、同程度であることがわかりました。[通勤時間が60分以上]の層では不満足計が65.8%と、とても高いことが分かりました。
都内の職場に通う場合、都心は家賃が高いため、埼玉、千葉、神奈川、八王子方面などから通っている方も多いかと思います。
ですが、そのぶん通勤時間は長くなってしまいますよね。
通勤時間が60分であれば、行き帰りで2時間もの時間を「移動」だけに使っていることになります。
当たり前ですが通勤時間には給与が発生しません。
また、Twitterでも「満員電車」「残業」などのキーワードがトレンド入りしたこともあり、「辛い」と呟いている方もたくさんいました。
ですが、テレワーク(在宅ワーク)であれば「通勤」の不便さは解消されますし、働き方を自分のスタイルに合わせることも可能です。
参考記事)家で働くことのメリット・デメリット【体験談と事例から】
「通勤」や「働き方」に不満があるにも関わらず、なぜテレワークは浸透しないのでしょうか。
テレワークを選ばない理由~在宅ワーカー側
なぜテレワークが増えないのか、いくつか理由を挙げてみました。
まずは働く側の事情です。
- 「対面でないと仕事ができない」と考える日本人が多い
- 在宅ワークは孤独だから嫌だ
- テレワークを導入しても、周囲の目があり利用できない
「対面でないと仕事ができない」と考えている
私は在宅勤務で仕事をして3年以上経ちましたが、「嫌だな」「不便だな」と感じたことは一度もありません。
むしろ通勤時間がゼロなので心身ともに負担がかからずとても満足しています。
なので「在宅ワークいいよ」と周囲に勧めるのですが、誰しも今ひとつピンとこない様子です。
中には「対面じゃないと無理(いやだ)」と言う人もいました。
対面でないと仕事は本当に無理なのでしょうか?
ITが発展した現代、チャット、ビデオ会議、メール、等々で離れた社員ともコミュニケーションを取ることができます。
社員管理、顧客管理、請求書、勤怠管理なども、オンラインのツールがあり問題がありません。
インターネットのみで対応できるツールの例
- 社員管理・労務管理:スプレッドシート(オンラインのエクセルのようなツール)、スマートHR、カオナビなど
- 顧客管理:スプレッドシート、ちきゅう、スカイデスクなど
- 請求書:ミソカ、MFクラウド請求書など
- 契約書;クラウドサインなど
- 勤怠管理:チームスピリット、ジョブカンなど
このようにツールはたくさん用意されているため、物理的には問題ありません。
「飲み会が嫌」「上司との付き合いが面倒」といった話を聞く一方で、どうしても対面で仕事をしたい人も多いのかな…と感じます。
特に年齢が高い方は昔からの慣習というのもあるのでしょうね。
在宅ワークは孤独そう
「対面じゃないと仕事ができない」と関連しますが、「在宅ワーク=孤独にパソコンをいじっている」というイメージを抱いている方も多いです。でも、実際はそんなことはありません。
職種や本人の意識しだいで、いくらでも変えることができますよ。
私は同じ部署の仲間と仕事以外でもおしゃべりをすることが増え、仲の良い在宅ワーク仲間もたくさんできました。
ひとりではなくチームで行なう仕事をしたり、Twitterなどでフリーランス仲間を探してみたりすることで、在宅ワークの孤独は解消されるかと思います。
- チームで業務をする職場に入る
- SNSでフリーランス・在宅ワーク仲間を募ってみる
周りの目が気になり、テレワーク制度を利用できない
テレワーク制度は有給休暇や育児休暇と似ているなと感じます。
有給休暇・育児休暇という制度はあるけれど、周囲の目や仕事量の多さで利用できている人が少ない。
テレワークについても、制度はあっても利用する人がいなければなかなか遠隔で働きにくいですよね。
この点は上司や経営層など企業の努力しだいかなと思います。
まず上が見本を示さなければ、部下もついていけないのではないでしょうか。
テレワーク導入が進まない理由~企業側
企業がテレワークを導入しにくい理由は、主に以下の2点からかと思います。
- 社員管理が難しい
- セキュリティが心配
本当に社員が働いているのかわからない
働く場所も時間も自由なリモートワーク。
企業からすると「本当に社員が働いているのかわからないから不安」というのはもっともな意見でもあります。
ですが、成果を上げる人は家だろうがオフィスだろうが関係ありませんし、オフィスで働いていたって仕事が捗らないことだってありますよね。
ネットサーフィンや隣の人とのおしゃべり、「タバコ休憩」、外回り営業の喫茶店休憩……(笑)
一方で、「トイレ休憩も惜しまず在宅で働いている」という主婦の方もいらっしゃいました(それは極端…(苦笑))
「社員が働いているか」が気になる場合は、「業務時間の間は常にオンにしている」などの勤怠管理システムを導入するのも手です。
が、テレワークを取り入れている企業は「成果を出せばある程度業務体系はは柔軟」なところが多いように思います。
セキュリティが心配
社員個人のパソコンで仕事をすることになるため、セキュリティが心配という声も聞かれます。
ですが、この点も工夫しだいです。たとえば、こんな対策を行なってみるなど。
- 契約締結の段階で「ウイルスソフト必須」とする
- 事前に「個人情報」についてのテストを行なう
私は2016年から在宅ワークを行なってきて、情報流出のトラブルに遭遇したことはありません。
出社しているからといって、個人の意識しだいで流出のリスクはありますし、「在宅勤務だからセキュリティが危険」とは言えないかと思います。
まとめ
以上、働く側と企業側の双方から、テレワークが増えない理由を考えてみました。
今後も、育児や介護などの事情やストレスや過労による疾病による理由から、外で働けない人が増えることが予想されます。
私自身も病気のため一時働けなかった時期もありましたが、在宅ワークのおかげで社会復帰ができました。
遠隔でも働けるしくみを取り入れる企業が増えることを願うのと同時に、社会もリモートワークに対する理解を広げていってほしいなと思います。