先日、このようなご質問がありました。
在宅で働く場合の報酬の形は、主に「時給制」か「固定報酬制」に分かれます。
どちらが良いかはご自身の働き方や得意不得意等によって異なります。
- 時給制
- 働いた時間に対する報酬=時間がかかった分だけ確実に報酬が得られる
- 固定報酬制
- 働いた成果に対する報酬=作業が早くこなせれば、その分稼げる
私自身2016年から在宅ワークを複業しており、いろいろな報酬パターンの仕事を行なってきました。
また、たくさんのワーカーさんが働く企業で人事をしていた経験もあります。
この記事では、時給制と固定報酬制のメリットとデメリット、それぞれに合う人、合わない人をまとめました。
報酬のしくみに悩む方の参考になれば幸いです。
そもそも「固定報酬制」って?
時給制と固定報酬制の特徴を記載する前に、固定報酬制に馴染みのない方向けに具体例をご紹介します。
時給制の場合は、簡単ですね。
「時給1,000円」と書かれていれば、「1時間働いたら1,000円稼げる」ということ。
一方で、「固定報酬制」は業務によってさまざまな報酬形態があります。
説明 | 具体例 | |
---|---|---|
月額制 | 月額固定で支払われる | ・請求書の作成など事務の仕事で月額5万円 ・英語→日本語への翻訳、月に約10件で月額10万円 |
案件制 | 1つの案件ごとに対して支払われる | ・企業のトップページ制作で7万円 ・お店のロゴ作成1件3万円 ・記事作成、1記事につき5,000円(7000文字程度) |
単価制 | 1件の作業などの単位に対して支払われる | ・テレマーケティングで1件電話すると10円 ・顧客リストの制作で1顧客につき1円 ・1文字1円の記事作成=3000文字の記事であれば3,000円 |
あくまで一例ではありますが、「固定報酬制」と言っても、このように業務によってさまざまな支払われ方が存在します。
※上記は、業務委託契約(フリーランスなど)のケースです。
雇用契約の場合は、「時給制」「月給制」など、時間に対する給与が支払われます。
時給制と固定報酬制のメリット、デメリット
それでは、時給制と固定報酬制にはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれのメリットデメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
時給制 | 時間をかけた分は確実に報酬がもらえる | ・作業効率が良いと損をする可能性もある ・作業時間の申告が必要 ・稼げる上限が決まっている |
固定報酬制 | スピーディに作業すればするほど、効率よく稼げる | 時間がかかる作業の場合は、効率が悪い |
時給制の仕事のメリット、デメリット
時給制の仕事は「1時間いくら」という働いた時間で報酬が支払われます。
時給制に多い仕事は、たとえばこんなもの。
- 事務
- カスタマーサポート
- 受電業務
- (企業内の)デザイナーやプログラマー
とはいえ、これらの仕事は「月額制」の場合も多いですし、ライティングや文字起こしの仕事でも時給制の求人があるため、目安でお考えください。
「この仕事は絶対時給制」という法則はなく、あくまで依頼する側の裁量によって時給制か固定報酬制かは変わります。
時給制の特徴は、作業した時間分の報酬が支払われるということ。
作業に1時間かかっても、2時間かかっても、働いた時間に対する報酬が支払われます。
これは「確実に報酬が得たい」という人にはメリットになります。
一方、作業が早い人にとっては時間給だと「損」と感じることも。
たとえば、請求書を作成する仕事が時給1,000円だったとします。
Aさんは1つの請求書を作るのに10分で終わりますが、Bさんは30分かかります。
1日の仕事として、AさんとBさんが、請求書を60件作成するよう言われたとしたら。
もらえる金額は、
- Aさんは10分✕60件=600分=10時間=1万円
- Bさんは、30分✕60件=1800分=30時間=3万円
仕事の遅いBさんのほうが、Aさんよりも3倍多くもらえることになってしまいます。
仕事の早いAさんにボーナスなどが支給されれば良いですが、そのような待遇を設けている企業はほとんどありません。
仕事内容や依頼内容によっては、作業効率が良い人ほど損してしまう可能性もあります。
また、「時間」に対しての報酬なので、何時間働いたのかを報告する必要があります。
企業によっては、ワンクリックで出勤や退勤の打刻ができるシステムを用いる場合もあれば、メールやチャット、エクセルなどで報告書を書く場合もあります。
厳密な企業では、パソコンのスクリーンショットを定期的に撮影されるシステムを使っていたり、スカイプなどのビデオを繋いだままにすることが必須だったりすることも。
以上をまとめると、時給制のほうが良いケースはこんな場合です。
- 仕事に不慣れな場合
- テキパキ作業するのが苦手(じっくり作業したい)
- 時間がかかるような仕事をする場合
- かかった時間分、確実に稼ぎたい場合
固定報酬制のメリット、デメリット
固定報酬制に多い仕事はこちら。
- プログラミング
- デザイン
- ライティング
- 電話営業、テレアポ、テレマーケティング
- リスト作成
- リサーチ業務
- 文字起こし、テープ起こし
固定報酬制の特徴は、時間ではなく「成果」に対して支払われるため、作業を早く終えられれば終えられるほど効率よく稼げるということ。
たとえば、1案件10万円のホームページ制作の仕事があったとします。
10時間かかった場合と5時間で完成した場合とでは、時間単価が異なりますね。
- 10時間かかった場合:時給1,000円換算
- 5時間かかった場合:時給2,000円換算
このように、早く作業ができればその分時間単価が高くなります。
一方、作業に時間がかかってしまった場合、時給換算で200円などコスパの悪い仕事になってしまう可能性もあります。
固定報酬制の場合は、依頼される業務がどの程度のボリュームかによって、得なのか損なのかが分かれます。
また、自分の都合が良いタイミングで稼働してもかまわない仕事も多いため、自由に働きたい場合は合います。
打刻などはまず不要ですがが、報告書は提出する必要があることも。
以上をまとめると、固定報酬制が良い方はこんな方です。
- 効率よく仕事ができる場合(自分が得意な業務など)
- 自由度の高い仕事が良い場合
まとめ
時給制と固定報酬制、それぞれの特徴をまとめました。
仕事によっては固定報酬制しか選べない場合もありますが、事務やカスタマーサポート、ライティングなどの仕事は、時給制と固定報酬制が存在することもあります。
ご自分の都合や得意不得意に合わせて報酬形態を選んでみても良いかもしれません。
時給制が良い場合
- 仕事に不慣れな場合
- テキパキ作業するのが苦手(じっくり作業したい)
- 時間がかかるような仕事をする場合
- かかった時間分、確実に稼ぎたい場合
固定報酬制が良い場合
- 作業をテキパキこなす自信がある
- 効率良く稼ぎたい(その工夫ができる)
- 打刻や報告書などの時間管理が面倒くさい
ちなみに、私は時給制の仕事と固定報酬制(記事単価制)の仕事の両方の経験がありますが、基本的に固定報酬制のほうが好みです。
時間給の場合、どうがんばっても稼げる限度が決まってしまうためです。
とはいえ、固定報酬制で作業に時間がかかると、「このままじゃ時間給換算が低くなっちゃうな」と多少焦ることもあります。
どちらが良いかは仕事内容やご自身の考え方にもよりますが、参考にしていただければ幸いです。