前回、家で働くことのメリット・デメリットという記事を書きました。
今回の記事ではそのメリットとデメリットから「家で働くことに向いている人・向いていない人」を整理しています。
私は在宅で人事・採用の仕事をしており、さまざまな在宅ワーカーと触れ合ってきました。
在宅勤務を好んで長く働いている方もいれば、一方で辞めてしまう方もいらっしゃいます。
では、在宅ワークが続く人、続かない人はどんな傾向があるのか。
在宅勤務をする動機や性格面などからまとめました。
在宅ワークに向いている人~動機・事情編
家で働くことに向いているのは、何かしらの事情があり外で働くことができない方です。
オフィスに通って働くことはできないけれど、家でなら働ける。
通勤ができない=就職することを諦めている人にとって、「家で働く」ことは大きな助けになります。
たとえば、こんな事情がある方。
- 病気や障害があり外で働くことが難しい方
- 例)うつ・自律神経失調症・パニック障害・PATM・対人恐怖症・社会不安障害・過敏性腸症候群・ヘルニア…など
- 家族に病気・障害がある方
- 育児中の方
- 介護中の方
- ペットの介護をしたい方
- 仕事のブランクにより就職が困難な方
- 例)引きこもり、うつ、対人恐怖症、育児、などで就業していない期間が長い方
- 住む場所による事
- 家族が転勤族の方
- 海外在住で、日本の仕事をしたい方(時差があっても良い企業の場合)
このような事情がある場合、そもそも働くこと自体を諦めてしまう方もいらっしゃるので、「家でも働ける」ということは社会と繋がったり収入を得たりする良い機会になります。
上記の事例を具体的にご紹介していきますね。
病気・育児・介護などの事情がある方
在宅ワークを選んでいる方は、ご自身や家族に何かしら事情がある方が多いです。
特に、育児をされている主婦の方、体調を崩してしまった方、家族が病気の方、などと出会うことがたくさんありました。
採用をしていて応募動機を伺ってみると、
「持病や障害があっても仕事がしたい」
「病気の妻(両親・家族)のために、家で働きたい」
このようなことを挙げられる方が多かったです。
そんな強い動機がある方ほど、「やっぱり家で働くのは向いてないな」と挫折せず、在宅勤務を続けられるように思います。
病気や障害のある方
在宅ワーカーの中には、うつ病やヘルニアなど病気を発症してしまったり、足に障害がある、という理由で外で働けないという方もいらっしゃいます。
「会社に出社する」となるとかなり気合が要りますが、家で仕事ができる在宅ワークは心身ともにもかなり楽です。
病気の方、障害がある方にも在宅ワークはオススメなのですが、「在宅ワークだからいつ休んでも良い」というのは間違いで、仕事である以上責任は必ずつきまといます。
持病や障害のある方は、ゆっくり身体を休めてご自身の体調を相談してから就業してくださいね。
「働かなきゃ」と焦ってしまったり不安を感じたりしても、「在宅ワークの可能性がある」と考えればずいぶん楽になると思います。
ただ、在宅ワークは時間管理しやすいので、私は持病がありつつ今まで仕事に穴を開けたことはありません。
「絶対休んじゃダメだ」と考える必要はなく、急な体調不良のときは会社員同様に休めます。
ですが、締切などがある仕事の場合、自分の体調を加味して前倒しで進めておく、という工夫は必要です。
ブランクがある方
病気や育児で仕事をしていない期間が長い方にも、在宅ワークはおすすめです。
「スキルや経験がなく仕事がないんじゃ…」と思われるかもしれませんが、きちんと探せば求人はあります。
後述の【在宅ワークに向いている人~スキル編】でご紹介していますが、基本的なビジネスマナーができていなかったり、すぐ辞めてしまう方も多いのが現状です。
なので、ブランクはあっても人柄が良かったり、やる気があったり、ビジネスマナーがあったりする方はチャンスが多いんですよ!
住環境等の制限がある方
「夫が転勤族で定職に就けない」という女性や、「海外にいるけど日本の仕事がしたい」という方も家で働いています。
家で働けるので住む場所を選ばない、ということも在宅ワークのメリットです。
現状の仕事に大きなストレスや不満がある場合
「上司からのストレスが辛い」
「飲み会が嫌い」
「OLのランチ会みたいのがウザイ」
「満員電車はもう疲れた…」
現職にこんなストレスを感じている場合も、在宅ワークが解決の糸口に繋がるかもしれません。
簡単に「上司がウザイから」という理由で在宅ワークを選ぶのは良くないですが、「体調に影響が出てしまうほど辛い」という場合は在宅勤務を選択肢のひとつとして検討いただきたいです。
在宅ワークは基本的にオンラインミーティングやチャットツールでのコミュニケーションとなるため、嫌な人と顔を合わせることはありません。
ただ、顔が見えないからこその配慮(報告・連絡・相談をこまめにする)は必要です。
本当に「あまり人とコミュニケーションをとりたくない!」という場合は、作業的な業務が良いかもしれません。
在宅ワークに向いている人~スキル編
エンジニアやWEBデザイナーなど特別なスキルを持っていないと在宅勤務はできない、と考える方も多いようですが、最近ではITの発達により事務や営業などさまざまな職種でも家で働けるようになりました。
なので、「特別なスキルや経験がない=家で働けない」と考えてしまうのは早すぎます。
もちろんエンジニアなど技術職の場合は、スキルや経験は必要です。
ただ、意外かもしれませんが、採用時に一番重視されるのは人柄や基本的なビジネスマナーなんです。
そしてここができていない方が多いのです。
応募する際に、以下の点をしっかり確認してみてください。
- メールをきちんと確認し、丁寧に返信すること
- 企業側が求めている応募書類や記入すべきものをきちんと提出すること
- 締め切り厳守
「え、こんな基本的なこと?」と思われるかもしれませんが、できていない方が多いです。
なので、「スキルや経験がない」と思っている方でも大いにチャンスはありますよ。
「パソコンが得意じゃない」という方も、入力ができれば問題ない職種もありますし、「勉強する気ゼロ」という方以外はテキストや動画でスキルアップすることもできます。
在宅ワークに向いている人~性格編
在宅勤務に向いている性格は、
- 自己管理力が高い人
- 効率的に仕事をしていきたい人
です。
家で働くことのメリット・デメリットという記事でも書きましたが、在宅勤務のデメリットとして「仕事とプライベートがごっちゃになりやすい」という点が挙げられます。
職場が家になるわけなので、たとえば「お腹が空いたらすぐに好きなものを食べられる」といった点は便利なのですが、自由な分仕事とプライベートが混合しやすいです。
時間をきちんと区切ったり、仕事のスペースを作ったり、工夫ができる人は向いていると言えます。
もしくは仕事とプライベートを混ぜてもいい、と考える人はそもそも工夫は不要ですね。
また、効率的に仕事をしていきたい人も在宅勤務に向いています。
家で働くということは、通勤時間がゼロになったり、無駄な飲み会や会議がなくなるということです。
自分の裁量で仕事を進められることも多いため、効率よく働いてきっちり自分の時間も持ちたい、という人にはオススメです。
在宅ワークに向いていない人
逆に、こんな方は在宅ワークは向いていないのかな、と思います。
- 家で仕事をするのがどうしても嫌だ
- 仲間とワイワイガヤガヤしながら仕事がしたい
- 仕事は対面が命だと思う
- ビジネスマナーを何も知らず、勉强する気力もない
- パソコンアレルギーがあり、勉强する意欲がまったくない
- 文字で何かを伝えることが嫌い
- 家でしか働けない事情がなく、自己管理力の低い方
以下より簡単にお話してきます。
コミュニケーションは対面が命だと思っている方
「人と直接接していないと嫌だ!」という方はリモートワークには向きません。
とはいえ、「オンライン飲み会」などのコミュニケーションや「常にパソコンのマイクやカメラをオンにしたままにする」ということ実施している企業もありますし、「週に1回は出社」「出社するかしないか自由」という会社もあります。
企業によってはコミュニケーションが充実していることもあるので、「在宅ワーク=孤独」というイメージは持ってほしくありません。
私はチャットやビデオ通話で上長や同僚とコミュニケーションを取っているので、孤独感を感じたことはありません。
ただ、「人と一緒じゃないとダメ」と考える方は在宅勤務やリモートワークは難しいのかなと思います。
スキル面での不向き
つぎに、スキル面について。
在宅ワークは中途採用がほとんどです。基本的なビジネスマナーは身につけていることが前提です。
「ビジネスマナーやパソコンスキルに自信がない。でも本やネットで勉强しよう」、という方は全然問題ないです。
でも、「自分では学べない」という方にはオススメできません。
また、遠隔勤務の場合、どうしてもチャットやメールでのコミュニケーションが多くなります。
「文字で何かを伝えることが嫌い」「俺は言葉で伝えたいんだ!」
という方は難しいかもしれません。
外でも働ける方
上述のように「外で働けない」という事情がなく、「楽そうだから」「自由な勤務形態が良さそうだから」と気軽な動機で在宅勤務を選ぼうとしている場合も、在宅勤務がふさわしくないことがあります。
さらに、
- 自己管理力が低い→改善する意欲がない
- 対面コミュニケーションが好き
- 文字を打つことが面倒
といった方には、リモートワークは合わないかもしれません。
それでもリモートワークに興味がある場合、
- 一部出社
- 一部在宅
- 常にビデオ通話で会社と繋がっている
といった働き方のように、部分的な在宅ワークから始めてみることをオススメします。
まとめ
以上、人事の視点から「こんな人は在宅ワークが向いているかも」「在宅勤務は続かないかも」ということを書きました。
在宅ワークでも「その人の考え方ややる気しだい」で成長できたり稼げたりもしますが、在宅で働くための動機が弱かったり、「なんとなく楽そうだから」という安易な理由で家で働くことを選んでしまうと、続かないことも多いです。
反対に、「外で働きたいけれど事情があってできない」という方には在宅ワークはオススメです。
私自身も持病があり外で働けませんでしたが、在宅で働けることを知り、仕事に就き、将来への不安はだいぶ軽減されました。
もちろん、そうした事情がなくても、やる気や自己管理力があり、努力ができる場合、在宅勤務やフリーランスのほうがガシガシ稼げる可能性を秘めています。
「自分は在宅ワークに向いているのかな」「在宅ワークしてみたけど、向いていないのかな」というお悩みがありましたら、下記のサイトでカウンセリングも行なっていますので、お気軽にお声がけくださいね。